難易度入門 ★☆☆☆☆
所要時間約15分
前提なし(はじめての人向け)
釣りを始めようと思ったとき、最初に気になるのは竿やリールかもしれません。でも、釣り場に立つ前にそろえておきたいのは、服装と、身を守るための装備と、ちょっとした小物です。どれも高いものではなく、手持ちの服で代わりになるものもたくさんあります。この記事では、最初にそろえるものを優先度の順に整理し、季節ごとの服装、ライフジャケットの選び方、出発前のチェックリストまでまとめます。
この記事で身につく力
- 最初にそろえるものを「必ず必要」「あると快適」「その他」に分けられる
- 季節と時間帯に合わせて、釣りの服装と靴を選べる
- 自分の釣り場に合ったライフジャケットを選び、正しく着られる
うっちー


結論:最初にそろえるのは「服装・安全・小物」
最初にそろえるものは、次の3つのグループに分けると整理しやすくなります。
- 服装:動きやすく、汚れてもよい服と、滑りにくい靴。季節に合わせて、日差し・寒さ・雨への対策をします。
- 安全の装備:ライフジャケットと、スマートフォン。万が一のときに命を守るものです。
- 小物:フィッシュグリップ、帽子、偏光グラス、手袋、飲み物、ゴミ袋など。釣りが安全で快適になります。
海上保安庁も、釣りに最低限必要な装備として「ライフジャケット」「釣り場に合った履物」「防水ケースに入れた携帯電話」を挙げています。竿やリール、仕掛けはこのあとのSTEPで一緒に選んでいきましょう。
優先度つき:最初の持ち物一覧
いっぺんに全部そろえる必要はありません。まずは「必ず必要なもの」から準備して、釣りに行くたびに少しずつ増やしていけば大丈夫です。
必ず必要なもの
| 持ち物 | 理由 |
|---|---|
| ライフジャケット | 海に落ちたとき、体を浮かせて呼吸を確保するため |
| 滑りにくい靴 | 濡れた堤防やコケで滑って、転んだり落ちたりしないため |
| スマートフォン | ケガや事故のときに助けを呼ぶため。海の事故は118番(海上保安庁) |
| フィッシュグリップ | 釣れた魚をしっかりつかむため。トゲやヒレ、毒のある魚から手を守れる |
| 帽子 | 日差しから頭を守り、投げたときの針から頭を守るため |
| 飲み物 | 水辺には自動販売機がないことも多く、夏は熱中症の予防になるため |
| ゴミ袋 | ゴミや、切った糸を持ち帰るため |
あると快適なもの
| 持ち物 | あるとよい理由 |
|---|---|
| 偏光グラス | 水面のギラつきをおさえて見やすくし、飛んできた針やオモリから目を守る |
| プライヤー | 魚の口から針を外したり、糸を切ったりする |
| 日焼け止め・虫よけ | 水辺は日差しが強く、季節によっては蚊やブヨも多い |
| 手袋 | 手のケガ・日焼け・寒さを防ぐ。指先が出るタイプが釣りに向いている |
| レインウェア | 雨よけと、風よけの上着を兼ねられる |
| 絆創膏などの救急セット | 針や魚のトゲでの小さなケガに |
その他(必要に応じて)
防水のスマホケースに入れておくと、水に濡れたり落としたりしても通話でき、より安心です(海上保安庁も防水ケースに入れて持ち歩くようすすめています)。タオルはエサや魚をさわった手をふくのに使えます。フィッシングジャケットや専用のシューズ、防寒用の釣りウェアなどは、何度か釣りに行って「もっとこうしたい」が見えてからで十分です。プライヤーやフィッシュグリップの選び方は、「あると安心な釣りの小物」でまとめています。






服装の4つの基準
釣りの服は、専用品でなくてもかまいません。次の4つを満たしていれば、ふだんの服で十分です。
① 肌を出しすぎない(ケガを防ぐ)
釣り場では、針が引っかかったり、魚のヒレやトゲが刺さったりすることがあります。コンクリートや岩で手足をすりむくこともあります。季節を問わず、長袖・長ズボンが基本です。暑い時期は、薄手で風通しのよい長袖を選びましょう。半袖なら、アームカバーなどで腕を守る方法もあります。
② 日差しと虫を防ぐ
水辺は日かげが少なく、水面の照り返しもあるため、思っている以上に日に焼けます。帽子と長袖に、日焼け止めを組み合わせましょう。汗や水で落ちやすいので、水に強いタイプを選び、ときどき塗り直すのが基本です。草の多い河口や夏の夕方は、蚊やブヨにも注意が必要です。
③ 動きやすく、汚れてもよい
釣りは、投げる、しゃがむ、バケツの水をくむなど、思ったより体を動かします。体をしめつけない服を選びましょう。エサや魚のにおい、コマセ(まき餌)の汚れがつくこともあるので、汚れても気にならない服が安心です。
④ 目立つ色を選ぶ
海上保安庁は、海に落ちたときに見つけてもらいやすいよう、赤や黄色などの目立つ色の服装をすすめています。黒や紺の服が多い人は、帽子や上着だけでも明るい色を選ぶとよいでしょう。
靴の選び方:いちばん大事なのは「靴底」
釣り場は水しぶきで濡れていたり、コケや海藻で滑りやすくなっていたりします。靴は、デザインよりも靴底が滑りにくいか、脱げにくいかで選びます。
- サンダル・クロックス・ヒールの靴:脱げやすく、足の指も守れないので避けます。
- スニーカー:足場の平らな堤防や海釣り施設なら使えます。靴底がすり減っていない、溝のしっかりしたものを選びましょう。
- 滑りにくい専用のシューズ:濡れた場所や、足場の悪い場所に行くなら用意したい靴です。磯(岩場)は、スパイクなど専用の靴底が必要になります。
海上保安庁も、初心者は釣具店やメーカーに相談して、釣り場に合った靴を選ぶようすすめています。迷ったら、行く予定の釣り場を伝えて、お店の人に聞いてみましょう。
季節と時間帯で変わる服装
水辺は、街なかより風が強く、天気も変わりやすい場所です。季節ごとのポイントを押さえておきましょう。
春・秋:脱ぎ着できる重ね着
日中は暖かくても、朝夕や風が出たときは一気に冷えます。長袖のシャツの上に、脱ぎ着しやすい薄手の上着を1枚持っていきましょう。レインウェアがあれば、風よけの上着としても使えます。
夏:日差しと熱中症の対策
薄手で乾きやすい長袖と、つばの広い帽子で日差しをさえぎります。半袖に、UVカットのアームカバーやラッシュガードを組み合わせるのもOKです。飲み物は多めに持っていき、のどがかわく前にこまめに飲みましょう。日差しの強い真昼を避けて、朝や夕方に釣りをするのもひとつの方法です。
冬:重ね着と風を通さない上着
海辺の冬は、風で体温がどんどん奪われます。汗をかいても乾きやすい肌着、保温できる中間着、風を通さない上着の3枚を重ねるのが基本です。ニット帽、ネックウォーマー、手袋もあると安心です。
夜:明かりと目立つ服
夜の釣りは、昼より足元が見えにくく、気温も下がります。ヘッドライトで足元を照らし、昼より1枚多く着ていきましょう。反射材のついた服やライフジャケットだと、周りからも見つけてもらいやすくなります。
データで見る、ライフジャケットの大切さ
釣りの事故で多いのが、堤防や岸からの海への転落です。海上保安庁の令和6年の報告では、釣り中に海に落ちた人のうち、ライフジャケットを着けていなかった人の約46%(126人中58人)が亡くなるか行方不明になったのに対し、着けていた人では約19%(54人中10人)でした。
海に落ちると、服が水を吸って重くなり、冷たい水で思うように体が動かなくなります。ライフジャケットは、助けが来るまで体を浮かせ、鼻と口を水面の上に出しておくための道具です。小型船舶(ボートや釣り船など)では、2018年から、船室の外にいる人は原則として着用が決まりになりましたが、岸からの釣りでは法律上の決まりはありません。決まりがなくても、岸からの釣りで着けるかどうかで、万が一のときの結果が大きく変わります。
また、海釣り施設の中には、ライフジャケットの着用を利用の条件にしているところや、無料で貸し出しているところもあります。ルールは施設ごとに違うので、行く前に確認しておきましょう。
ライフジャケットの種類と選び方
浮き方の違い:固型式と膨張式
| 種類 | しくみ | 向いている人・場所 |
|---|---|---|
| 固型式 | 中に浮力材が入っていて、着ているだけで浮く | 子ども、磯やテトラなど、転んでぶつかるおそれのある場所。膨らませる必要がなく、壊れにくい |
| 膨張式(自動) | 水に落ちると、ボンベのガスで自動的に膨らむ | 足場のよい堤防や海釣り施設。軽くて動きやすく、夏でも暑くなりにくい |
| 膨張式(手動) | 水に落ちたあと、ひもを引いて膨らませる | 自分で引く操作が必要なので、はじめての1着には自動タイプが安心 |
形の違い:ベスト・肩掛け・腰巻き
- ベスト型:固型式に多い形です。ポケットが多く、小物を入れて持ち歩けます。
- 肩掛け型:首から肩にかける膨張式です。膨らむと顔が水面から出やすい形になります。
- 腰巻き型:ウエストポーチのように腰に巻く膨張式です。いちばん軽く、じゃまになりにくい形です。
マークを確認する:桜マークとCSマーク
ライフジャケットには、性能の目安になるマークがついているものがあります。桜マークは、国土交通省の型式承認を受け、船に乗るときの基準を満たしたものにつくマークです。CSマークは、日本小型船舶検査機構の性能鑑定に合格した、レジャー用の固型式ライフジャケットにつくマークです(船に乗るときの備品としては使えません)。
海上保安庁のサイトで紹介されている日本釣用品工業会の推奨表では、堤防での釣りでも、桜マークかCSマークのついたライフジャケットがすすめられています。船に乗る予定がなくても、はじめの1着はマークのついたものを選ぶと安心です。
釣り場で選ぶ
| 釣り場 | 選び方の目安 |
|---|---|
| 海釣り施設・足場のよい堤防 | 自動膨張式の肩掛け型・腰巻き型で動きやすく |
| 磯・テトラ・沖の堤防 | 転んでも壊れにくく、膨らませる必要のない固型式 |
| 船・ボート | 桜マークのついたもの(着用が決まり) |
| 子ども | 体に合ったサイズの固型式で、股ベルトつき |
例として、どちらも桜マーク(タイプA)つきで、種類と価格帯のちがう2つを紹介します。子ども連れや磯・テトラには固型式、足場のよい堤防で身軽に動きたいなら腰巻きの自動膨張式が向いています。
通販で選ぶときは、商品ページで桜マークやCSマークの有無、対応する体重、膨張式なら自動か手動かを確認しましょう。
正しい着け方と点検
- ベルトはしっかり締める:ゆるいと、水の中で体からずれて、口が水面の上に出ないことがあります。股ベルトがあるものは必ず留めましょう。
- いちばん外側に着る:膨張式をレインウェアの内側に着ると、レインウェアの中で膨らんでしまい、顔を水面の上に出しにくくなります。
- 釣り場では常に着ておく:落ちるのは一瞬です。車から降りたら着けて、帰るまで外さないようにしましょう。
- 使う前に点検する:生地やベルトに傷みがないか、膨張式ならボンベがしっかり取り付けられているか、使用済みになっていないかを確認します。膨張式は、1年に1回を目安に、販売店を通してメーカーの点検を受けることがすすめられています。
子どもと一緒に行くとき
子どもには、体重に合ったサイズの固型式ライフジャケットを選びます。股ベルトがあると、水の中で頭からすっぽり抜けてしまうのを防げます。大人用を子どもが着ると、ぶかぶかで浮き方が安定しないので避けましょう。
- 柵のある海釣り施設など、足場のよい場所を選ぶ
- 子どもだけで水辺に近づかせず、必ず大人がそばにつく
- 大人もライフジャケットを着ける(助けに入る大人が溺れる事故もあります)
- 子どもは暑さ・寒さに気づきにくいので、飲み物と上着を多めに持っていく
予算の目安と、そろえ方
服装と安全の装備は、全部を新しく買わなくてもそろえられます。「手持ちのもので代わりにする」「借りる」「買う」を組み合わせましょう。
| 持ち物 | そろえ方 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 服・帽子・タオル | 手持ちのもので代わりにできる | 0円〜 |
| 靴 | 平らな堤防なら、溝のしっかりしたスニーカーで代わりにできる | 0円〜 |
| ライフジャケット | 海釣り施設などで借りられることもある。買うなら長く使えるものを | 数千円〜3万円前後 |
| 偏光グラス | 釣具店や通販で | 数千円〜 |
| 日焼け止め・虫よけ・防水ケース | ドラッグストアや100円ショップでもそろう | 数百円〜2,000円前後 |
※2026年9月時点の目安です。価格は種類や時期によって変わります。
釣具店では、行く予定の釣り場を伝えると、服装やライフジャケットについて相談にのってもらえます。はじめてのときは、一度お店に足を運んでみるのもおすすめです。
出発前のチェックリスト
家を出る前に、次のリストで確認しましょう。画像を保存しておくと、スマートフォンですぐに見返せます。
持ち物と一緒に、天気予報と風の強さも確認しておきましょう。風や波が強い日、雷の予報がある日は、無理をせず中止するのがいちばんの安全です。また、行き先と帰る時間を家族に伝えておくと、万が一のときに探してもらいやすくなります。






よくある失敗と、釣り場のルール
| よくある失敗 | こうすれば防げる |
|---|---|
| 半袖・短パンで行って、日焼けや虫刺されがひどかった | 夏でも薄手の長袖・長ズボン。日焼け止めと虫よけを持っていく |
| サンダルで行って、濡れた堤防で滑った | 溝のしっかりした、脱げにくい靴を選ぶ |
| 昼は暖かかったのに、夕方になって寒くて帰った | 春・秋でも上着を1枚持っていく |
| ライフジャケットを車に置いたままにした | 車を降りたらすぐに着けて、帰るまで外さない |
- 立入禁止・釣り禁止の場所には入らない。柵やロープ、看板の案内に従う
- 体調がすぐれない日は行かない。できるだけ1人では行かない
- 風が強くなったり、雷が聞こえたりしたら、すぐに切り上げる
- ゴミや使い終わった糸・針は必ず持ち帰る
まとめ
- 最初にそろえるのは「服装・安全の装備・小物」。竿やリールは次のSTEPで
- 必ず必要なのは、ライフジャケット、滑りにくい靴、スマートフォン、フィッシュグリップ、帽子、飲み物、ゴミ袋
- 服は長袖・長ズボンが基本。季節と時間帯に合わせて重ね着し、目立つ色を選ぶ
- ライフジャケットは、着けているかどうかで生死を分けることがある。マークつきを選び、ベルトを締めて常に着る
- 出発前はチェックリストと天気予報を確認する
QUEST CLEAR
釣り場に立つ準備を、手に入れた。
次は、相棒になる竿とリールを選ぶ番。
参考:海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「最低限必要な装備について」、日本釣用品工業会「ライフジャケット推奨表」、海上保安庁「海釣りの心得」、海上保安庁「令和6年 海難の現況と対策」、消費者庁「水辺のレジャーではライフジャケットを正しく着用しましょう」、国土交通省「ライフジャケットの種類と特徴」、国土交通省「ライフジャケットの着用義務拡大」。





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